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2018年1月12日

岩手県が民泊条例案を発表

2018年1月10日、岩手県は、6月15日の施行が決定している住宅宿泊事業法(民泊新法)に対応するため、住宅宿泊事業法施行条例(仮称)を発表しました。岩手県は1月29日まで県民からパブリックコメントを募り、条例案を整えてから県議会に提出します。民泊新法と同日の今年6月15日施行が予定されています。

岩手県によると、民泊事業に起因するトラブルは現在まで発生していないとのことです。しかしながら、県を訪れる外国人観光客が増加傾向にあることから、今後発生しうる県民の生活環境悪化を防止するために条例制定を目指すことを決めました。

民泊新法の施行により、ホテル・旅館を立てられないような住宅地の届出住宅に旅行客を泊めることができるようになります。法律上、最大営業日数は年間180日です。大幅な規制緩和と同時に、民泊新法は都道府県などの自治体が、条例により国会が定めた法律に上乗せして民泊営業を規制することも認めています。岩手県の条例案は、「家主不在型」の住宅に対して区域や期間の上乗せ規制を設けています。

民泊事業者が民泊施設を自己の生活の本拠として利用している場合(「家主居住型」の民泊施設の場合)については、規制の対象外です。家主居住型が規制対象から外されている理由は、体験・交流観光といった新しい観光のニーズに対応しているから、としています。

条例案が可決した場合は、下記の区域や期間では「家主不在型」の民泊営業ができなくなります。

① 平日の児童が利用する学校と児童福祉施設の周囲100メートル以内の区域。ただし、夏休みなどの長期休暇期間中は平日の営業が可能です。なお、休業日がない施設に関しては、年間を通して周囲100メートル以内の区域で営業が認められません。

② 平日の用途地域が住居専用地域に指定されている区域(第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域)。祝日であっても、一定条件を満たさない場合は営業が認められません。

区域や期間についての独自規制に加えて、県の旅館業法施行条例と同程度の定期的な清掃と換気を行うことを民泊にも義務付けています。民泊新法は、旅館業法とは独立して民泊を管理することを目的に成立しましたが、岩手県は旅館業法に対応した条例の内容を民泊施設にも一部適用しようとしていることになります。

条例案は民泊新法10条の内容を具体化する形で独自の規定を設けており、周辺住民からの苦情や問い合わせがあった場合は、①苦情等を受けた日、②苦情等の相手方、③苦情等の内容と対応内容を記録して3年間保管することを義務付けています。