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2018年1月27日

星野リゾートが民泊事業参入を検討

株式会社星野リゾート(以下、「星野リゾート」)は、同社の民泊参入に関するメディア報道に応じて、2018年1月22日に公式見解を発表しました。公式ウェブサイトのニュースリリースによると、「星野リゾートは、民泊事業について検討はしておりますが、具体的な計画については決定しておらず、民泊事業への参入は未定」とのことです。

その一方で、「星野リゾートは、民泊事業の法制化に合わせ、その市場について注目し研究しております。民泊を初めとするシェアリングエコノミーは、新しい旅行市場を創造し、地方の活性化に貢献する可能性がある」とも発表していることから、引き続き民泊事業参入を検討していくものと思われます。

星野リゾートは本社拠点のある長野県軽井沢町において多くの別荘の管理事業を展開しています。星野リゾートは、空き家となっている別荘を民泊事業に活用することで軽井沢町の活性化と景観保存につながると考えてきました。星野リゾートの見解に賛同して、別荘を民泊として活用したい別荘オーナーが存在します。

星野リゾートが軽井沢町で今後民泊事業を展開していくためには、地方自治体から理解を得る必要があります。軽井沢町は、「民泊施設等の取扱基準」を設け、「民泊施設(貸別荘を除く)は、町内全域において認めない」としています。「善良なる風俗の維持及び別荘文化を保全する観点」から民泊事業は認められない、というのがその理由です。

違法民泊のゲストが引き起こしたゴミ放置や騒音などによって周辺住民の生活環境が悪化する社会問題が全国的に発生していることから、民泊事業を認めると国際親善文化観光都市及び保健休養地としてのまちづくりができなくなることを懸念しているものと思われます。

軽井沢町の「貸別荘」の定義が「生業として、不特定の者に1ヶ月以上の賃貸を行う戸建ての住宅をいう」となっているうえ、民泊新法(2018年6月15日施行)で解禁される用途地域のうち「第1種低層住居専用地域」においては貸別荘を運営できません。そのため、表向きは貸別荘として民泊事業を行おうとしても実質的には困難です。

軽井沢町が民泊事業を認めない方針を打ち出している一方、平成29年12月に国土交通省が発表した「住宅宿泊事業法施行要領(いわゆる民泊ガイドライン)」は、法律の趣旨を逸脱するような地方自治体による制限に対して警告を発しています。

民泊ガイドラインは、民泊新法18条の「条例による住宅宿泊事業の実施の制限」に関連して、「本法の趣旨を踏まえると、住宅宿泊事業に対して、事業の実施そのものを制限するような過度な制限を課すべきではない」としています。

国・地方自治体・民間事業者とのせめぎ合いの中、人気観光地である軽井沢町において民泊事業が今後どのように取り扱われていくかが注目されます。