2017年の訪日外客数推計値が過去最多を記録
2018年1月16日、日本政府観光局(以下、「JNTO」)は、訪日外客数(2017年12月と年間推計値)を発表しました。JNTOは、「訪日外客」を、正規外国人入国者(永住外国人を除く)及び日本を経由して第三国に向かうため一時的に日本に入国した外国人、と定義しています。
JNTOのプレスリリースによると、12月の推計値は252万1,000人(前年同月比26.8%増)となり、過去最多を記録しました。2017 年の年間訪日外客数は2,869万1千人(前年比19.3%増)で、こちらの統計も過去最多を記録しました。①LCC(ローコスト・キャリア)の新規就航に伴う航空路線拡充、②査証(ビザ)発給要件緩和、③クルーズ船寄港数増加、④継続的な観光プロモーション活動などが訪日外国人増加の追い風になっていると推測されます。国内消費市場が衰退する傾向の中で、急増する訪日外国人によるインバウンド消費が日本経済を下支えすることが期待できます。
地域別訪日旅行市場の年間統計をみてみると、主要20市場(アジア4か国、東南アジア7か国、豪州・北米3か国、欧州6か国)の全ての国で過去最高を更新しました。中国は735万5,800人、韓国は714万200人に達し、地域別訪日旅行市場の統計を取り始めてから初めて700万人台を突破しました。
東アジア4市場(中国と韓国に台湾・香港の2市場を加えた市場)の訪日外客数を合計すると訪日外客数のシェアの74.2%を占めています。
ロシアからの年間訪日旅行者数は7万人台(77,200 人)に乗って過去最高を記録しました(更新前の最高記録は 2008 年の 66,270 人)。経済制裁を受けた悪影響で経済が停滞していたため、ロシア国内では外国旅行自体の需要が長らく冷え込んでいました。そのような中でも、2017年には短期滞在の査証(ビザ)発給要件緩和が実現したこともあり、2017年の記録更新につながりました。査証(ビザ)発給要件緩和は、2016年12月に行われた安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領との会談の中で実現が決まりました。
2017 年 12 月の訪日外客数をみてみると、2016年同月の統計と比較して47万人以上増加しました。①韓国、②インドネシア、③シンガポール、④マレーシアが単月として過去最高の人数を記録しました。他残りの主要16市場においても、12月として過去最高を記録しました。
12月は年間訪日外客数の記録更新を左右する月であることが統計から推察されます。7 市場(イギリス、イタリア、フランス、オーストラリア、タイ、マレーシア、シンガポール)が2017年12月中に昨年の通年記録を塗りかえたことにより、主要20市場の全てで過去最高更新が達成されました。